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国立大学で心理学を専攻した後、マーケティング業に携わり、20年近く、日々人の心理について洞察し続けてきた「こぶたろー」の、ビジネスをサバイブするためにちょっと役立つかもしれないし、役に立たないかもしれないブログです

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超簡単解説:今話題の「アフターデジタル」って何?

今、よく目にしたり、聞いたりする「アフターデジタル」


みんな普通に使っているけど、よくよく聞いてみると、一人一人違う意味で使っているし、
自分で説明しようとしても、なかなかうまく説明できない。
そんなわかっていそうで、意外にわかっていない「アフターデジタル」を超簡単解説します!

 

アフターデジタルとは、オンラインだけでなくオフラインも含めてデジタルで統合された顧客体験を実現し、顧客体験とデータのループを回してより良い世界を目指す状態になること

 

今までは、オンラインはオンライン、オフラインはオフラインと明確に分けて考えていたものを、オンオフの区別なく一つ顧客体験ジャーニーを設計・提供し、そこから生活者データを取り、分析し、顧客体験にフィードバックしていこうというもの、それが「アフターデジタル」です。

 

 

なぜ「アフターデジタル」と言われるようになったのか。それにはいくつか理由があります。

  1. テクノロジーが発達し、オフラインでのデータが取れるようになったこと
    →オンラインだけでなく、オフラインのデータを取ることで、生活者の理解が進み、より良い商品やサービスを提供できるようになります。
  2. そもそも生活者はオンとオフは手段でしかなく、その時々で便利なものを使っているだけだということ
    →生活者から見れば、オンライン、オフラインはゴールではなく、あくまで手段。生活の中である目的を達成するために、その都度便利な方を使うだけで、両方必要なもの。オンラインとオフラインを分けてビジネスを考えるのは生活者にそぐわないのです。
  3. 日本はデジタル後進国に成り下がっていることへの危機感
    →DiDiや平安保険、アリババなど、中国はデジタル化が進んでいると言われています。アメリカではUberやNikeなど、オフラインで行われていたものにオンライン要素を取り入れ、継続的な顧客接点を構築しようというサービスが出てきています。日本もペイメント系などアフターデジタルに向けた動きが出てきましたが、まだまだ遅れているのが実情です。

 

では、アフターデジタル化することのメリットは何でしょうか?
結論としては、より良い顧客体験を実現し、継続的に顧客と繋がれること、生活者側からすれば、より良い商品・サービスを受けられるようになるということです。
メリットが生まれる流れは下記の通りです。

  1. 購買時のみ、使用時のみに顧客と繋がるのではなく、テクノロジーを使用することで、今までは接点をもてなかったシーンも含めて、継続的にリレーションを作ることが出来るし、同時にデータを取ることが出来る
  2. オンオフどちらのデータも取得することで、生活者理解の解像度が飛躍的に向上する
  3. そのより深い生活者理解のもとに、既存のサービス、製品の改良が進み、また新たな商品・サービスが生まれる
  4. より良い商品・サービスが提供されることで、更に使いたくなるし愛着が湧く

アフターデジタルを考えることに大事なことは、とにかくデジタル化すれば良いということではなく、理想的な顧客体験は何か、どんな顧客体験を提供するのが良いかと言ったことを起点として、そのためにデジタルをどう活用するのかという順番で考えることです。


デジタル化は手段であって、目的ではない。
目的は顧客体験の向上である。

それが「アフターデジタル」の正体なのだと思います。

 

参考図書:アフターデジタル2